新型コロナウイルス危機によって、政府が大規模な世界的危機に非常に柔軟かつ斬新に決断力を持って対応できることが明らかになりました。しかし、新たな実証によると、事前に危機対応能力を強化するためにもっと多くの対策が取れたはずで、多くの行動によって政府と市民との間の信頼関係と透明性が損なわれた可能性があります。
OECDの新報告書、「図表で見る行政 2021年版(Government at a Glance 2021)」によると、パンデミックから得られた最大の教訓の一つは、政府は将来の危機にも迅速かつ大規模に対処する一方で、信頼と透明性を守る必要があるということです。OECD公共ガバナンス局局長Elsa Pilichowski氏は次のように述べています。「今後、我々は経済復興を推進すると同時に民主主義の衰退を避けることに同時に取り組まなければならない。民主主義の強化が、我々の最優先事項の一つである」
各国は数千に及ぶ緊急規制を迅速に導入しました。緊急時には基準を一部緩和することが避けられませんが、政府の能力、開放性、透明性、公平性に対する市民の見方を損なわないようにするために、緩和する範囲と期間を制限しなければなりません。
政府は信頼と透明性を高め民主主義を強化するために、次の3分野で取り組みを強化すべきです。
- 誤情報への取り組みがカギを握っている。2020年はパンデミックによって政府への信頼が高まったが、それでもデータが入手可能なOECD諸国で自国政府を信頼していると答えた人の割合は平均でわずか51%である。一部の人々やグループは自分自身が従来型の民主主義のプロセスから切り離されていると考えている恐れがある。
- 公平で透明な代表性と政治参加を強化することが不可欠である。政府は包摂性と多様性を促進し、政治と政策協議の場に若者や女性、その他社会的に恵まれない人々の声が反映されるよう支援し、ロビー活動における平等な競争を促進する方法を模索しなければならない。公聴と参加のプロセスを調整することで、公的制度の透明性と信頼が高まる可能性があると、本報告書は述べている。また、政府はロビー活動における平等な競争を確保しなければならない。ロビー活動に定期的にかかわるほとんどの関係者を対象とした透明性要件を設けている国は、半数未満である。
- 世界的な課題に取り組みつつ新たな技術の可能性を引き出すには、ガバナンスの強化を優先する必要がある。2018年には、新たな、予期しないまたは複雑な危機に携わる政府機関を持っている国は、OECD諸国のわずか半数だった。将来の課題に対処し、民主主義の根幹を守るために、政府は信頼と透明性を守りつつ、迅速かつ大規模に行動できるようにしなければならない。
また、本報告書は、政府が支出を改善しなければならないとも述べています。OECD諸国は今回の危機で、市民と企業に多額の支援を行っており、2021年3月までに進行中または公表されている措置の追加予算または既定の歳入の額はほぼ対GDP比16.4%に達し、他の手段については最大で対GDP比10.5%に上ります。政府は、公的支出を見直して効率を高め、支出の優先順位を人々のニーズに適合させ、公的サービスの質を改善する必要があります。
本報告書は、公的ガバナンスを概観する隔年報の第7版で、公財政、雇用、予算編成、デジタル化、公共サービスの提供といった分野についてOECD諸国とパートナー諸国の比較を行っています。これらのデータは政府の実績の基準として、また時間を追って各国と国際的な動向を追跡するために、また政府の公共部門改革の進捗状況を把握するために用いることができます。本報告書は、こちらからお読みいただけます。
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