2016年6月30日, 京都
国際課税のルールを21世紀に見合うよう改めるために進行中の取組みをさらに前進させるべく、80以上の国・地域の代表が日本の京都に集まりました。これは、税源浸食と利益移転に対処するOECD・G20のプロジェクトの新しいステップです。6月30日~7月1日の会合は、様々な発展段階にある幅広い国々がOECD租税委員会に対等の立場で参加する初めての機会となりました。この会合により、BEPS実施のための包摂的枠組みが始まります。
パスカル・サンタマンOECD租税センター局長は、「本日、我々は国際課税の協力の新たな時代の幕を開けた。OECD租税委員会の意思決定及び作業部会への彼らの参加を通じて、包摂的枠組みの参加国・地域はBEPSに対処するための国際課税ルールの形成及び公平な競争条件づくりに直接的に関われるようになる。」と述べました。
BEPSプロジェクトにより、各国政府は、企業の利益を消失させ、または人為的に企業の経済活動がほぼ、あるいは全く存在しない低・無課税地域へと移動させることを可能にする既存の国際ルールの隙間を埋めるための解決策を得ることとなります。BEPSによる各国の逸失歳入は保守的に見積もっても毎年1,000−2,400億米ドル、あるいは世界全体の法人税収の4−10%に上ります。途上国は法人税収に大きく頼っていることに鑑みれば、BEPSがこれらの国々に与える悪影響は特に大きいです。
36の新たな国・地域がBEPS包摂的枠組みに正式に参加し、BEPSパッケージを実施することにコミットしました。この結果、プロジェクトに対等の立場で参加する国・地域の総数は82となりました。その他、京都会合に参加している21の国・地域に関しては、今後数か月の間にBEPS包摂的枠組みに参加する可能性が高い国です。
京都会合において、参加国は、移転価格や利子控除等、積み残したBEPSの技術的事項に関する基準策定作業に着手しました。参加国は、BEPSパッケージへのコミットメントの一貫したグローバルな実施を支援するための実践的ガイダンスの策定を始めました。包摂的枠組みは特に、BEPSプロジェクトの4つのミニマムスタンダード―有害税制、租税条約の濫用、国別報告書、及び紛争解決メカニズム―の実施確保に焦点を当てます。これらはいずれも、パッケージの他の項目のモニタリングと並行して、ピアレビューの対象となります。
国際機関及び地域税機関も、BEPSパッケージのグローバルな実施を支援するという役割を認識しており、BEPSに対抗するための各国の体制を確かなものとするためのイニシアチブに参加しています。また、本会合では、ビジネス界及び市民社会の代表との特別セッションも設け、BEPSプロジェクトに対する彼らの見解に直接耳を傾けるとともに、新たな包摂的枠組みの作業に対する初期段階でのインプットを得る機会を参加国政府に与えました。
今回の京都における会合では、5カ国(アルゼンチン、キュラソー島、ジョージア、韓国、ウルグアイ)が、BEPSプロジェクトの国別報告書の自動的交換に関するマルチの当局間合意 (CbC MCAA) に署名しました。これにより、署名国の総数は 44となりました。CbC MCAA は、行動計画13に示されているとおり、多国籍企業グループ(MNEs)の取引の全体像を税務当局が把握するために全ての署名国が情報の機密性を確保しつつ国別報告書を自動的に交換することを可能とします。
麻生太郎 財務大臣及び浅川雅嗣 租税委員会議長・財務官がホストし、日本で開催されたこの会合は、浅川氏が租税委員会議長として開催する最後の本会合でもあります。ドイツ連邦財務省国際課税局長Martin Kreienbaum氏が浅川氏の後任として、2017年1月からの任期で租税委員会の議長に選出されました。
詳細はwww.oecd.org/beps を参照ください。
報道機関のお問い合わせは、パスカル・サンタマンOECD租税センター局長(+33 6 2630 4923)、OECDパリ本部メディア課(+33 1 4524 9700)又はOECD東京センター(川口尚子:+81 90 8644 3546, naoko.kawaguchi@oecd.org)までお寄せください。
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