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OECD、急速な技術の進歩に合わせてAI原則を更新

 

03/05/2024 - 2024年のOECD閣僚理事会(MCM)で、人工知能(AI)に関するOECD原則の改訂版が採択されました。特に汎用AIや生成AIの出現など、近年のAI技術の進歩を踏まえて更新されたこの原則は、プライバシー、知的財産権、安全性、情報の完全性など、AI関連課題に今まで以上に踏み込んで対応しています。

 

現在、EUを含む47の国と地域が準拠し、世界各国のAI開発に適用できるよう対象範囲を一般的にしたOECDのAI原則は、AIリスクへの対処方法とAI政策の策定方法に関する政策枠組みの青写真を提供するものです。AIに関する最初の政府間基準として、この原則は、人権と民主主義の価値観を擁護する、革新的で信頼できるAIを提唱しています。

 

2019年にAI原則が最初に採択されて以来、その進展を追跡調査してきたOECDのAI政策に関するオブザーバトリーによれば、生成AIスタートアップ企業へのベンチャーキャピタル投資は9倍に増え、AIスキルの需要は130%増えています。また、AIを使用している大企業の比率は、OECD諸国平均でほぼ倍増し、小規模企業の4倍以上となっています。70以上の国・地域で1,000件以上のAIイニシアティブが発表されたことからもわかる通り、こうした発展に伴って重要な政策や措置も導入されつつあります。

 

人権と民主的な価値観を擁護しつつ、生産性を高め、科学研究を加速させ、環境の持続可能性を促進し、医療と教育を改善するため、AIシステムを開発・普及させる必要性は高まっています。しかし一方で、プライバシー、セキュリティ、公平性、福祉などのリスクもこれまでにないスピードと規模で高まっており、偏見や差別の継続、誤情報や偽情報の作成と拡散、公共政策にかかわる発言や市場の歪みなど、現実世界での害も広がっています。

 

今回のOECD改訂の主眼点は、当原則が今も適切・堅牢で、目的に適合していることを確実にすることです。それには以下が含まれます:

 

  • AIシステムが不当な害を引き起こすリスクがある、または望ましくない動作を示す場合、それらを安全にオーバーライド、修復、および/または廃止するための堅牢なメカニズムと保護手段が存在するよう、安全上の懸念に対処すること。

  • 誤情報や偽情報に対処し、生成AIに関して情報の完全性を保護することの重要性の高まりを反映すること。

  • AI知識やAIリソースのサプライヤー、AIシステムユーザー、その他のステークホルダーとの協力を含め、AIシステムのライフサイクル全体にわたって責任ある企業行動を強調すること。

  • AIシステム関連情報を明確にして透明性と責任ある開示を提供すること。

  • この5年間で重要性が大いに高まっている環境の持続可能性について明示的に言及すること。

  • 世界的にAI政策イニシアティブの数が急増する中、国・地域が協力してAIの相互運用可能なガバナンスと政策環境を促進する必要性を強調すること。

 

マティアス・コーマンOECD事務総長は、次のように述べています。「OECDは、エビデンスに基づく提言や、複数の国やステークホルダー間における広範な協力を通じて、何十年にもわたってデジタル政策を形作るための支援を提供してきました。OECDのAI原則は、AI政策の策定における世界基準として、グローバルな政策の相互運用性を可能にするとともに人間中心のイノベーションを促進します。改訂されたOECDのAI原則は、汎用AIと生成AI、およびそれらが我々の経済社会に与える影響に対応することにより、AI政策に関する世界的な相互運用性を確保し、政策立案者が技術の進歩に適応するための青写真を提供するものです。」

 

OECD AI原則を含むOECD人工知能に関する理事会勧告には、国際的な相互運用性を裏付け、奨励する定義が含まれ、勧告によるAIシステムとそのライフサイクルの定義は、欧州連合、日本、米国を含む世界中で使用されています。この定義は、国際連合並びに米国と欧州連合の貿易・技術評議会(TTC)の作業にも影響を与えています。

 

 

詳細情報に関して、報道関係の方はOECDメディアオフィスのReemt Seibelまでお問い合わせください(電話:+33 1 45 24 97 00)。

 

 

OECDは、100カ国以上と協力して、個人の自由を守り、世界中の人々の経済的および社会的幸福を高めるための政策を推進する世界的な政策フォーラムです。

 

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