2022年9月5日 ― OECDの新報告書によると、大企業への実効的課税は、税務当局と多国籍企業(MNEs)の間の信頼構築とコミュニケーション改善の取り組みを強化することで便益が得られるようになります。
「納税意欲 II:税務当局と大企業の間の信頼構築(Tax Morale II: Building Trust between Tax Administrations and Large Businesses) 」では、多国籍企業の行動と税務コンプライアンスについて、138カ国の1200人を超える税務当局を対象に行った広範な調査の結果を収録しています。
国際社会が新しい国際的な最低税率の導入に向けて準備を進める中で、この調査結果は、信頼と透明性という、新しい国際課税ルールの成功を支える要素の現状について重要な理解を提供しています。
この調査によると、多国籍企業は一般的に、特に期日通りの支払いなどを通じて税務当局と共同で業務を行うことを公式に誓約していると見られていますが、多国籍企業が提供する情報の透明性と信頼性については、あまり肯定的に受け止められていません。多国籍企業の行動に対する税務当局の認識には地域差が大きく、アジアやOECD諸国と比較すると、南米・カリブ諸国では総じて低く、アフリカも比較的低いことが分かります。
また、この調査には、税務に関する四大専門サービスネットワーク(デロイト、EY、KPMG、プライスウォーターハウスクーパース)の行動に対する税務当局の認識も収録されています。それによると、法律に従う意思と形式的なコンプライアンスについては肯定的な認識を持っている一方で、税法の精神に従うことについてはそれほど肯定的ではないという類似のパターンが見られます。
本報告書は、多国籍企業に対する税務当局の認識と、多国籍企業の税務当局に対する認識に関する先行研究を組み合わせ、税務当局と企業の間にさらなる信頼と効果的な関係を構築し、税務分野におけるより責任ある企業活動を促進するために、考え得る一連の行動を明らかにしています。その中には、(企業と納税者憲章が定めた自主原則などを通じて)企業と税務当局双方の行動に対する説明責任を高めること、協力的なコンプライアンス関係の構築を支援すること、より単純にコミュニケーションを容易にして誤解を減らすことに重点を置くことなどが含まれています。
特に、国連の持続可能な開発目標の達成に向け歳入の増加に取り組んでいる開発途上国が直面している課題に焦点を当てています。多くの開発途上国は、他の国よりも法人税と多国籍企業の双方に依存しているため、税務分野における責任ある企業行動を育成することはこれらの国々にとって特に重要です。
グレース・ペレス=ナバロOECD租税政策・行政センター次長は次のように述べています。「多国籍企業の税務コンプライアンスに影響を与える要因は数多くあるが、信頼性と税務当局と納税者の関係構築はその出発点として有効である。このOECD の新しい取り組みは、税務当局と企業の双方がコミュニケーションを改善し、濫用的租税回避(aggressive tax planning)を阻止し、より効果的な自発的コンプライアンスをもたらすために必要な信頼を構築する一助となる一連の行動を提唱している」
本報告書は、こちらをご覧ください。
報道関係者のお問い合わせは下記までお寄せください。
Grace Perez-Navarro, Deputy Director of the OECD Centre for Tax Policy and Administration (+33 1 45 24 18 80)
Joseph Stead, Senior Policy Analyst, Global Relations and Development Division (+33 1 45 24 79 39)
OECD Media Office (+33 1 45 24 97 00).
OECDは、世界100か国以上と協力して、個人の自由を保護し世界中の人々の経済・社会的幸福を向上させる政策を推進する、グローバルな政策フォーラムの役割を担っています。
Also AvailableEgalement disponible(s)
Follow us
E-mail Alerts Blogs