OECD-パリ、2018年3月15日
経済活動を活性化するために減税、通関手続きの軽減、規制緩和、監督管理の制限といった措置が取られる自由貿易圏が急速に拡大していますが、それによって偽造品取引が意図せず助長されていることが、OECDとEU知的財産庁(EUIPO)が共同で執筆した新報告書、「偽造品取引と自由貿易圏(Trade in Counterfeit Goods and Free Trade Zones)」から明らかになりました。
本報告書によると、一国・経済からの偽造品、海賊品の輸出は、自由貿易圏の数と規模に並行して増加しています。企業数と雇用者数で測る自由貿易圏の成長率と、全世界における税関での押収物のデータを比較すると、新たな自由貿易圏が設定されるとそのホスト国・経済からの偽造品の輸出額が5.9%増えることがわかりました。
マルコス・ボンチュリOECD公共ガバナンス局局長は、不法貿易対策のためのOECDタスクフォースの会合で行われたアントニオ・カンピノスEUIPO長官との共同発表会見で、次のように述べました。「これは、自由貿易圏が偽造品の不法取引という犯罪に使われているという明確な証拠である。我々はこれを機に対策を呼びかけ、今後数カ月以内に自由貿易圏での不法貿易防止の取り組みを強化する手助けをすると同時に、合法的な貿易を促進するという自由貿易圏の役割を維持できるようにしたい。」
現在世界全体で3,500を超える自由貿易圏が存在しますが、その多くは北米と南米、アジア太平洋地域、欧州、アフリカの130カ国・地域の主要港に位置しています。1975年にはその数は25カ国、79地域に過ぎませんでした。自由貿易圏は企業に有利な関税と、資金調達、所有、労働と移民、税などについての規制を緩和することによって、貿易を促進しています。新興経済諸国はそのおかげで海外投資を誘致し雇用を創出、経済成長を遂げましたが、自由貿易圏は米国、シンガポール、香港などの豊かな国々にも利益をもたらしています。
|
|
 |
今月出版されたもう一つの報告書、「不法貿易対策のガバナンス枠組み(Governance Frameworks to Counter Illicit Trade)」 では、自由貿易圏に対する監督の不行き届き、小型小包に対する不十分な検査、偽造品の発送者に対する罰則に一貫性がないことを、政策の甘さが偽造品の不法取引を助長している3つの主要課題として指摘しています
商標や著作権の侵害と同様、偽造品や海賊品は健康と安全を脅かし、欠陥商品を生み出し、企業と政府の所得を喪失させるものです。OECDのこれまでの研究から、世界の輸入品の2.5%、EUの輸入品の5%は偽造品 であることがわかっています。
本報告書は、以下のサイトからダウンロードできます。
Trade in Counterfeit Goods and Free Trade Zones
本書について詳しくは、下記までお問い合わせください。
Catherine Bremer
OECD パリ本部メディア課 (+33 1 45 24 97 00)
Also AvailableEgalement disponible(s)
Follow us
E-mail Alerts Blogs