2022年7月25日－本日発表されたOECDの新報告書によると、アジア太平洋地域の平均税収は、2019年から2020年にかけてCOVID-19のパンデミックの結果、対GDP比 で1.2%減少し19.1%になりました。

「アジア太平洋地域の歳入統計 2022年版 (Revenue Statistics in Asia and the Pacific 2022)」は、同地域の 28 カ国・地域の税収に関する調和されたデータを収録しており、また今回初めて、バングラデシュ、カンボジア、キルギスタン、パキスタンのデータを収録しました。本報告書によると、アジア太平洋地域の平均税収の対GDP比は、OECD諸国や南米・カリブ諸国（LAC）の平均値よりも低くなっています。2020年のデータが入手可能な26カ国中19カ国で、2019年から2020年にかけて税収の対GDP比が下落しました。

パンデミックの初年度には、アジア太平洋地域全体で10年来続いている税収の対GDP比の下落の度合いがさらに大きくなり、2010年から2020年の間に26カ国中15カ国で下落しました。また、パンデミックにより、アジア太平洋地域の平均と、OECD諸国や南米・カリブ地域の平均との差が拡大しました。OECD諸国の平均税収の対GDP比は2019年から2020年にかけて0.1ポイント上昇し33.5％となり、南米・カリブ地域の平均税収の対GDP比は0.8ポイント下落して21.9％となりました。

財・サービス税からの収入の落ち込みにより、アジア太平洋地域の平均税収の対GDP比は2019年から2020年にかけて下落し、2020年のデータが入手可能な26カ国中21カ国で対GDP比が下落しました。落ち込みが特に大きかったのは本報告書に収録されている太平洋の島嶼諸国で、パンデミックにより観光客が激減したことが原因です。2020年のアジア太平洋地域の平均で、財・サービス税が税収全体に占める割合は50.6％でした。

2019年から2020年にかけて、アジア太平洋地域の法人所得税の収入は0.1ポイント下落しており、OECD諸国（-0.4ポイント）や南米・カリブ地域（-0.2ポイント）に比べて下落幅は緩やかでした。個人所得税収の対GDP比は、アジア太平洋地域、南米・カリブ地域とも平均は横ばいでしたが、OECD諸国では0.3ポイント上昇しました。

Revenue Statistics in Asia and the Pacific 2022は、同地域の19カ国の税外収入に関するデータを収録しています。2019年から2020年にかけて、税外収入の対GDP比は12カ国で下落し、7カ国で上昇しました。2020年に税外収入が対GDP比10%を超えたのは、サモア（11.6%）、ブータン（19.8%）、バヌアツ（24.0%）、クック諸島（27.4%）、ナウル（67.5%）、トケラウ（218.7%）です。

本報告書には、アジア開発銀行による新型コロナのパンデミックを受けて、アジアの開発途上国が国内資源の動員を強化するオプションについての特集も掲載されています。この特集によると、既存の歳入源の最適化、租税支出のより戦略的な活用、デジタル経済への適応、法人所得税からの税収を増やすための多国間イニシアティブ支援によって、多くの国で税収を増やす可能性があります。

Revenue Statistics in Asia and the Pacificは、OECD租税政策・行政センターとOECD開発センターが、アジア開発銀行、Pacific Island Tax Administrators Association (PITAA)、Pacific Community (SPC)との協力のもと、アイルランド、日本、ルクセンブルク、オランダ、ノルウェー、スウェーデン、スイス、イギリス政府支援を受けて共同で作成されました。

本報告書、データ、主要な調査結果、カントリーノートには、下記ウェブサイトからアクセスできます。http://oe.cd/revenue-statistics-in-asia-and-pacific　 

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